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導入事例に学ぶDX DX成功に向けて

IIJ.news Vol.191 December 2025

DX推進を滞らせている要因――これは見方を変えると、DXのドライビングフォースと捉えることもできる。本稿では、DXを成功に導く7つの項目を挙げ、 それらを包括するフレームワーク(CAF)の概要を紹介する。

株式会社インターネットイニシアティブ

IIJ 取締役 副社長執行役員

北村 公一

何がDXを滞らせているのか?

IIJは1992年の創業から、企業のインターネット接続サービスを起点に、OA環境を快適かつ安全に保つデジタルワークプレース領域の各サービスを提供してきました。そして今、人々の暮らしへのITの急速な浸透、ネットワークの驚異的な伸展、AIの急激な進歩などによってもたらされた現状に対応すべく、デジタルワークプレースを拡張したDXプラットフォームの開発・提供に邁進しています。

目下、大多数の企業が自社の命運をかけてDX推進に取り組んでいるにもかかわらず、その多くが苦戦しています。我々の調査によると、DXが進まない最大の要因は「人材(スキル)不足」です。具体的には「DXを推進できる人材がいない」「DXで必要となる開発をリードできる人材がいない」という課題です。(図1)

「DXを推進できる人材がいない」ことにより、DXのビジョン、経営戦略、ロードマップを描けない企業が多く、「効果・目的が不明」「目指したい姿が不明瞭」という結果に陥っています。DXのビジョンや経営戦略が曖昧だと、推進メンバーは実施すべき施策の立案がむずかしく、社内意思の統一もままなりません。また、実現に至るロードマップがないと、具体的にどのような施策をどの順番で実行すべきかわからないので、DXが進まない原因となります。

「DXで必要となる開発をリードできる人材がいない」のは、「新しいビジネスの創出」や「既存ビジネスの変革」に必須となるシステム開発や情報入手が困難なことに起因します。昨今のDX推進は、従前の個別情報や単独システムの場合とは異なり、多岐のシステムに跨る情報を統合して活用しなければならなかったり、複数のシステムおよびデータが既存のオンプレミス環境やパブリッククラウド環境(マルチクラウド)に散在しているため、スクラップ&ビルドによるPoCも容易に実施できなくなっています。また、DXの多くの試みは、ユーザ企業の事業部門・開発部門のメンバーが主体となって試行錯誤しながら進めていくので、クラウドネイティブなアプリのコンテナ開発なども困難です。さらに近年は、企業のIT保守・運用に欠かせないガバナンスやセキュリティの確保もIT部門のリソースではまかないきれなくなっています。

こうしたことから、多くの企業で「DX」という名のもとに行なわれているのは、テレワークの実施による業務環境のオンライン化やペーパーレス化、RPAなどに留まっています。

図1 DX推進に関するアンケート

IIJのマネージドサービス

IIJでは「DXを推進できる人材がいない」という課題を克服し、人材を支援するために、①「ビジネス戦略・計画」を立案し、②「組織・人材」の社内体制を提言し、③「導入(計画・構築・移行)」を示すためのコンサルティング&インテグレーションを実施しています。また「DXで必要となる開発をリードできる人材がいない」という課題に対しては、④「環境」、⑤「オペレーション」、⑥「ガバナンス」、⑦「セキュリティ」を統合した「ガードレール」として、各種マネージドサービスを提供しています。(図2)

DXを成功に導くためのこれら7つの項目を、我々は「クラウド・アドプション・フレームワーク(CAF)」と呼んでいます。CAFはアマゾン(AWS)、マイクロソフト(Azure)、グーグル(Google Cloud)の3大パブリッククラウドからも提唱されていますが、これらを複合したマルチクラウドにおけるCAFは、IIJ独自のフレームワークです。

実際、企業のDX推進においては、日常の業務はMicrosoft 365、AI(Azure OpenAI Service)はMicrosoft Azure、データ分析はGoogle Cloud、クラウドネイティブアプリのコンテナ開発はAmazon Web Servicesといった具合にマルチクラウド活用が一般的です。一方、IIJは自社クラウドサービス「IIJ GIO」を提供するなかで、3大パブリッククラウドの導入・活用を幅広く手掛け、各クラウドの特性を熟知し、それぞれのサービスに精通した人材を多数有しています。このようなバックボーンがあるからこそ、個々の企業に最適なCAFを提供できるのです。IIJのCAFを構成するサービスは2025年1月から順次リリースし、企業への提供を開始しています。

本特集では、IIJとともにDXを推進してきたお客さま企業のユースケースとあわせて、各社が直面した課題解決のプロセスを紹介します。IIJは企業単独では時に困難なDX推進をサポートし、成功へと導くお手伝いをしたいと考えております。

図2 IIJによるDX推進のための支援


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