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導入事例に学ぶDX 事例1 住商グローバル・ロジスティクス株式会社

IIJ.news Vol.191 December 2025

IIJの無料ワークショップでセキュリティを可視化し、対策の“鮮度”をチェック。
得られた気づきをもとにEDR、SOCサービスを導入

住商グローバル・ロジスティクス株式会社

コーポレート本部システム開発部
部長

山田 健太郎 氏

第一チーム 部長付

糸久 靖夫 氏

槇 俊一 氏

左から、槇俊一氏、山田健太郎氏、糸久靖夫氏

[導入前の課題]自社のセキュリティ対策は最新の脅威に対応できるか?

――御社のセキュリティ対策の方針を教えてください。

山田:
当社は住友商事グループの総合物流企業として国内外に物流サービスを提供し、世界各地に拠点を展開していますが、最近はサプライチェーン攻撃が増えていることから、最優先事項としてセキュリティ対策に注力しています。コーポレート本部システム開発部はいわゆる情報システム部門で、全社共通のIT環境整備をおもな業務とし、セキュリティ対策も担っています。

――セキュリティに関してどのような課題を抱えていましたか?

槇:
2022年から23年にかけて、IIJとともに現在の全社共通インフラを構築しました。その際、ファイアウォールやURLフィルタリングなど外部からの攻撃に対してさまざまな対策を施し、強固な仕組みを構築したのですが、脅威の侵入を許してしまった時のエンドポイント対策として「EDR(Endpoint Detection and Response)」の必要性についても検討を始めました。そのなかで、自社のセキュリティレベルや最新の脅威への対応状況を可視化できていないことが明らかになりました。
山田:
セキュリティ対策には終わりがなく、費用対効果についても常に悩んでいます。その意味で、現状の対策はバランスがとれているのか、EDRもやはり導入したほうがいいのか、導入するとなればその優先度はどれほど高いのかなど、現状を可視化して確認したいという思いがありました。

[EDRとSOCサービスを導入]IIJのワークショップに参加し、セキュリティレベルを可視化

――EDRの導入検討と、その前段階であるセキュリティの可視化に向けて、どのような取り組みを行ないましたか?

槇:
実のところ、EDRの必要性を確かめるといっても当部にはセキュリティの専門家がいないので、EDRという言葉は知っていても、詳しいことはわかっていませんでした。ある時、IIJの営業担当に「EDRの導入を検討したい」と相談したところ紹介されたのが、3日間で課題の確認からセキュリティ対策の鮮度チェック、課題に沿ったナレッジ紹介、そして具体的対応策までを提示してくれる「IIJ Sketch & Draw Workshop」でした。
山田:
セキュリティレベルを可視化したいという当社の要望に対し、IIJの知見・技術・ノウハウをベースに客観的に評価してくれるうえに、セキュリティ対策全体を見渡すアウトプットも得られ、しかもワークショップ自体は無料なので、勉強になることはもちろん、セキュリティレベルの向上にもつながると考え、参加を決めました。

――実際のワークショップはどのように進みましたか?

糸久:
2024年のワークショップには、私と槇の2人が参加しました。事前にセキュリティの状況やインフラ構成などに関するヒアリングシートを作成しました。当社の場合、インフラ関連の多くはIIJのサービスを利用しているので自明な内容のはずですが、それでも記憶をたどりながら記入しなければならない項目があり、インフラやセキュリティの全体像を再確認する良い機会になりました。ワークショップではこのシートをもとに、「DAY1」でまずIIJ担当者が当社のセキュリティ状況を整理し、それを見ながら諸課題を確認していきました。
槇:
続く「DAY2」では、IIJのインテリジェンスにもとづく最新のサイバー脅威のトレンド分析と、当社のセキュリティ対策の鮮度チェックが実施されました。そのなかで留意すべきポイントとして、外部からのサイバー攻撃に加え、シャドーITや不用意なストレージの接続など社員のリテラシー不足に起因する脅威や内部不正に関する指摘が出ました。「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という言葉の通り、外部だけでなく内部にも目を向け、きちんとチェックできる態勢が必要だという気づきが得られました。もちろんシャドーITなどの対策は行なっていましたが、改めてその意識を強くしました。
糸久:
以前は防御できていたケースでも、今では脅威が高度化しているため、状況に即した新しい対策を考えなければならないことに気づきました。DAY2の後半では、EDR、MDR、XDRといったキーワードについて、それらがなぜ必要なのかといった解説があり、EDRへの理解が深まりました。
槇:
そして「DAY3」では、当社のセキュリティ対策全体をマッピングした俯瞰図がIIJから提示されました。その図では、現状の対策で対応できている部分は塗りつぶされ、未対応の部分は白抜きで示され、当社が要望していた「セキュリティの可視化」が実現しました。基本的なセキュリティ対策は、共通インフラ構築時に実装していたこともあり、マッピングの結果は概ね高得点で、安心できました。ただ、なかには高い優先度での対応が望ましい部分もあり、万が一、エンドポイントに侵入された際の事後対応強化も含まれていたので、やはりEDR導入は必要との結論に至りました。
糸久:
ワークショップを通して、当社には何が十分で何が足りないのか、そして足りないところを埋めていくには何をすべきなのかといった指針を確認できました。ワークショップはEDRを前提としたものではなく、当社固有のセキュリティ状況を可視化したうえで対応を探るという内容だったので、むしろEDRの必要性を強く認識できました。また、すでに対策を講じていた部分が新しい脅威にも対応できるのかといった点はあまり考慮していなかったので、セキュリティ鮮度チェックの結果として、その意識が醸成されたことは新たな発見であり、たいへん有意義でした。

3日間のワークショップの流れ


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[ワークショップの効果]セキュリティホールをふさぐサービスを導入。安心・安全が向上

――ワークショップ参加後のEDR導入の流れと現状を教えてください。

山田:
ワークショップの結果を受けて、EDRとセットでSOCサービスも導入することにしました。背景には、当部の人的リソース不足がありました。ワークショップ自体は懸案解決に向けたナレッジや対策を明確化するものであり、IIJからサービスの提案などは行なわれません。つまり“営業色のないかたち”でセキュリティを可視化し、気づきを得て、対策のアイデアをつかむことが目指されているのです。ワークショップを通して、EDRは運用も同時に考慮しなければ効果を発揮しない、ということを知りました。そこで、IIJと具体的なサービス導入の話を進めるなかで、当社のリソース問題を解決し、かつIIJの知見と技術を享受するには、SOCサービスも合わせて導入するのがいいという結論になりました。
槇:
SOCサービスは2025年2月に、EDRは3月に導入しました。リソースの面でむずかしいEDRの運用はもちろん、当社の現状に応じた細かなチューニングもすべてIIJに任せており、100%信頼しています。導入後も大きな問題は起きておらず、順調に機能しているので、とても助かっています。
糸久:
とにかくセキュリティに対する安心感が高まったのが最大の成果です。例えば、社員が怪しげなサイトを開いてしまった時も「SOCから連絡がきていないので、問題はなかったのだろう」と安心できます。
槇:
ワークショップ参加の効果として、シャドーITや内部不正への意識も高まり、以前から行なっていた社外持ち出しデバイスや外部ストレージなどの管理を強化しています。また、当社のセキュリティ状況をマッピングした俯瞰図を部内や他部署の情報システム担当者とも共有できたことで、セキュリティ意識の向上にもつながったと感じています。

――今後のセキュリティ対策の方向性とIIJへの期待を教えてください。

山田:
セキュリティ対策は「鮮度」がポイントですから、実施中の対策が古くなっていないか、常にチェックしていきたいと考えています。IIJではワークショップの再受講も実施しているそうなので、定期診断のようなかたちで当社のセキュリティ鮮度チェックもまた行なってほしいです。
槇:
EDRで外部からの脅威については対応できましたが、シャドーIT対策は力を入れているものの、まだ十分ではありません。今後もIIJとタッグを組みながら、対策を強化していきたいです。IIJの担当者とは毎月顔を合わせているので、その場で当社の課題を伝えて、最適な提案をいただけることを期待しています。

本社:東京都千代田区一ツ橋1丁目2番2号 住友商事竹橋ビル14階
創業:1983年
資本金:13億5,600万円
従業員:593名(2025年4月1日時点、現場パート社員を除く)

住友商事100%出資の総合物流企業として、国際複合一貫輸送、海上運送、物流センター運営、物流容器レンタル、貿易実務代行など多岐にわたるサービスを展開。グローバルネットワークを活かし、自動車完成車輸送や危険化学品物流などにも対応する高品質かつ柔軟な物流ソリューションを提供し、世界中の顧客ニーズに応えている。

参加したワークショップ

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